ウエマツシホ×アライノゾミ 2人の表現中毒者が生み出す 写真と絵と文章
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森の中に、みんな落し物をして行きます。

森は言うのです。

「どうぞ、私の中に落として行きなさい。」と。

森には、みんなが落としていった、言葉やため息が積もり、雪を被ったように、一面が真っ白になってしまっています。

みんなの落し物は、やがて 森を覆い尽くし、身動きがとれなくなりました。

それでも 森は言うのです。

「さぁ、どうぞ。私の中に、全て落として行きなさい。」と。

何故なら、森は 全てを愛していましたし、それ故、何も怖い事などなかったのです。

森は、静かにそこに在るだけだったので、愛する全てのために出来ることと言えば、やはり そこに在るという事だけでした。


どんなに覆いつくされようとも、どんなに身動きがとれずとも、森は、みんなの落としていった ため息と言葉達があったので生きる事が出来ました。

どこにも行けず、何も見る事ができなくても、森にとって 決して同じ景色ではありませんでした。

皆の落し物がそうさせたのです。

森は、皆の言葉から、色んな悲しみを見ました。
森は、皆のため息から、多くの絶望に会いました。

森に、落としてゆく多くの人々から 笑顔を見ることが出来ました。

森は、そこに在るという事で、多くのことを知りました。
それだけで、森は幸せでした。

でも、ある時 ひとりの女の子が、森に落し物を拾いに来たのです。

「ねぇ?わたし、ずっと昔に あなたの中に落としてしまったの。ごめんなさい。
 でも、わかったの。」

そう言うと、その女の子は 森の中にある 白く積もった おとし物達を まるで 雪をかいていくように 両手で掘り出した。
やがて 森は 青く繁った山肌を見せ始めた。

「息苦しかったでしょ?ごめんなさい。
 わたし、気づいたの。 
 あなたが このままではいけないっていう事に。 
 
 あなたに覆い積もった落とし物達を 全て取り除いて、あなたの本当の目で 愛するもの全てをみるべきだって。
だから、すぐに。今すぐに。 」
 
そう言うと、女の子は 落し物を堀り続けた。

森は、急に 大声を上げて 泣きだした。

けんけーん ほろりん。けんけーん ほろりん。

森は 変な声を上げて 泣き続けた。

その泣声は 遠くの方まで 響き渡り、となり町の森の向こうまで こだました。

女の子は 森の泣き声が あまりにおもしろかったので、大声を上げて 笑いだした。
おなかがよじれるくらいに 笑い転げて、大声でわらい続けた。

それを見ていた森も なんだか おもしろくなってきて 大きな声で笑い始めた。

二人は 大声をあげて 何時間も何時間も笑い続けた。

落し物がかき出され、森の本当の姿が見え始めた頃、森は とっても軽くなるのを感じた。

今まで見えなかった 遠くの景色も 自分の姿も 自分の眼で、隅々まで はっきりと見えるようになった。

女の子は嬉しそうに そこに立っていた。


森は 軽くなった体を持ち上げ、女の子を 優しく抱きかかえ
そのまま 新しい朝日が差し込む方へと ゆっくりゆっくり
自分の足で歩き続けて行った。
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プロフィール

ウエマツシホ×アライノゾミ

Author:ウエマツシホ×アライノゾミ
京都の山奥の大学で出会ったゆる~い2人

●ウエマツシホ●
北海道生まれ。

●アライノゾミ●
愛知県生まれ
表現しないではいられない
表現中毒者かつ欲求不満生物。
大好物はラッキーストライクと辛いジンジャーエール

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